ベロア生地はふんわりとした肌ざわりと表面の光沢が特徴的な素材です。
肌ざわりの良さや保温性の高さからルームウェアや毛布、表面の光沢を活かしてオシャレなパンツやジャケットにも使用されています。
ファッション性が高いベロアですが、他の洋服と同じように洗濯すると美しさが損なわれて買った時よりも見映えが悪くなってしまうことをご存じでしょうか。
ベロアはとても柔らかくデリケートな素材なので、使用する洗剤や洗い方など正しい洗濯方法があります。
この記事ではベロアの特徴や正しい洗い方を説明し、美しさを保つためのお手入れ方法も紹介します。
質感を損なわずにベロア生地のアイテムを長く楽しむことができます。
ベロアを使った洋服が気になっている方は、ぜひ参考にしてみてください。
ベロア生地とは
ベロア生地はベルベット生地(光沢があり表面が細かく毛羽立った高級素材)に似た素材でパーティや高級な家具に使われる生地と同じ種類の生地です。
普通の生地とは違った方法で作られているため、ベロアならではの特徴があります。
現在でも流行に敏感な人の間で注目されている、その魅力とはどのような物なのでしょうか。
次の章でベロアの特徴を詳しく紹介していきます。
ベロアの特徴
ベロア生地は、柔らかく綿やポリエステルで作られたパイル織物です。
パイル織物とは下地の生地から繊維が飛び出ている構造の生地のことです。
身近な物では、輪っかになったループ状の繊維が飛び出ているタオルがパイル織物に当てはまります。
そのループ状の繊維をカットして毛羽(けば)立った状態にしたものがベロアやベルベットになります。
ベロアが持つ特徴はこの構造によるものです。
肌ざわりが良いのは繊維がふんわりと立った構造を持っているからであり、独特の高級感は立体感のある表面が光に反射して陰影を生むためです。
また、パイル生地は肌と生地の間に空気の層が作られるため保温性が高く、ベロアがルームウェアや毛布などにも使用されているのはこのような理由があるためです。
ベロアは2023年も流行中
70年代にブームになったベロア素材の洋服は、90年代にジェニファーロペスが頻繁に着用していた「トラックスーツ(上下セットになったスポーツ用ウェア)」に象徴されるように、ファッション業界で一般的になり現在でも人気の素材です。
保温性が高く、着心地が良い素材なのでワイドパンツやワンピースなど、秋冬に向けてリラックスしたスタイルのファッションにピッタリです。
ベルベットや別珍との違い
ベロアに似た「ベルベット」と「別珍」という素材がありますがそれぞれにどのような差があるのかわかりやすく表にまとめました。
ベロア | ベルベット | 別珍 | |
織り方 | 経糸(たていと)が パイルになっている | 経糸(たていと)が パイルになっている | 緯糸(よこいと)が パイルになっている |
材質 | 綿・ポリエステル | 絹・レーヨン・アセテート | 綿・ポリエステル |
用途 | 伸縮性があるためルームウェアからドレスまで幅広く使われている | 毛足が長く高級感があるためフォーマルドレスやコートに使われている | 毛足が短く硬めのためゲタの鼻緒や足袋に使われている |
ベルベットと別珍は伸縮性がありませんが、ベロアはニットのような構造を持っているため伸縮性があります。
ベロアを洗濯機で洗う方法
ここからはベロアを洗濯機で洗う方法を紹介します。
手間をかけられるのであれば手洗いのほうがおすすめです。
手洗いの方法は後ほどお伝えします。
洗う前に洗濯表示を確認し、「水洗い可(桶に水が入ったマーク)」であるか確認します。
「手洗いマーク(水が入った桶に手があるマーク)」の場合は基本的に洗濯機は使用不可です。
「水洗い不可(桶に×印)」の場合はクリーニング店にお願いしましょう。
洗濯機以外に必要な物は以下です。
・おしゃれ着用中性洗剤
・柔軟剤
・洗濯ネット
最後にベロアを洗濯する上で押さえるべき注意点を以下にまとめました。
・ベロア素材は色落ちすることがあるため、色移りが心配な方は他のものと一緒に洗濯するのは避ける。
・最初の2〜3回は単体で洗濯する。
裏返してネットに入れる
表面が擦れるのをできるだけ防ぐために洋服を裏返して洗濯ネットに入れます。
水流が弱く脱水が短い設定で洗う
洗濯機の設定は一般的な全自動洗濯機の機能を前提に説明していきます。
・エマールなどのオシャレ着用洗剤と柔軟剤をセット
(オシャレ着用洗剤は中性の成分を持つ、衣類にダメージが少ない洗剤のことです。)
・「ドライコースか手洗いコース」などの水流が弱い設定
・脱水時間は1~2分以内の設定(難しい場合は1~2分で手動で停止させる)
早めに干す
水に弱いため洗濯が終わったら早めに干します。
干すときはできるだけ太いハンガーを使ってシワを伸ばしながら風通しの良い場所で陰干ししましょう。
乾燥器はダメージや縮む恐れがあるため使用しないでください。
またベロアは日焼けしてしまう恐れがあるため、直射日光が当たらない場所に干しましょう。
表面の毛を撫でて立たせておくとふわふわに仕上がります。
ベロアを手洗いで洗濯する方法
ベロアを手洗いで洗う方法を紹介します。
洗濯機で洗う時と同じように洗濯表示を確認し、「水洗い可(桶に水が入ったマーク)」「手洗いマーク(水が入った桶に手があるマーク)」であるか確認します。
「水洗い不可(桶に×印)」の場合はクリーニング店にお願いしましょう。
必要な物は以下です。
・ぬるま湯が入った洗面器
・おしゃれ着用中性洗剤
・柔軟剤
・洗濯ネット
ぬるま湯で優しく押し洗いする
40℃以下のぬるま湯に水量に合わせた洗剤を洗面器で溶かして、裏返した服を洗面器の中に浸して上から優しく押し洗いします。
デリケートな素材なので、表面の生地を傷めてしまわないように、ゴシゴシ擦らないよう注意しましょう。
泡がなくなるまですすぐ
洗い終わったら水を変えながら泡がなくなるまですすぎ、最後に水を張った桶に柔軟剤を少量入れ服をくぐらせます。
洗濯ネットに入れ1〜2分脱水する
バスタオルではさんで水気を取り、洗濯ネットに入れて1〜2分脱水します。
早めに干す
洗濯機の時と同様に早めに干します。
干すときはできるだけ太いハンガーを使ってシワを伸ばしながら風通しの良い場所で陰干ししましょう。
乾燥器はダメージや縮む恐れがあるため使用しないでください。
普段のベロアのお手入れ方法
洗濯以外でもベロアの美しさを保つためにお手入れする必要があります。
光沢やふんわり感のある状態を保つために、着用後や収納時に気を付けなければならない点を細かく説明していきます。
着用後ブラッシング
ベロアはホコリが付きやすい素材なので、着用後は洋服用ブラシでブラッシングするときれいな状態を保つことができます。
繊維にホコリが付いた状態を放置すると、ふんわりとした肌ざわりが損なわれてしまうので極力使用後はブラッシングすることを心がけましょう。
洋服用ブラシのリンクを貼っておきます。
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収納時に詰め込まない
収納時に押し込んで収納してしまうと、表面の繊維がつぶれたり抜けてしまう恐れがあります。
また、重い衣類を上に乗せて収納するのも繊維がつぶれる恐れがあります。
引き出しではなく、ハンガーを利用して収納するのがベストです。
繊維がつぶれたらスチームアイロン
ベロアの繊維がつぶれてしまった時はスチームアイロンで元に戻すことができます。
ベロア生地は通常のアイロンがけをすると熱で溶けたりつぶれてダメージを受けてしまいます。
生地を傷めずにふんわりとした質感を取り戻すにはスチームアイロンを活用して蒸気を当てると元通りになります。
スチームアイロンをかける時は、ハンガーに洋服をかけてアイロンを生地から2〜3cmほど離すときれいに行えます。
まとめ
デリケートな素材であるベロアですが、正しい洗濯法やお手入れ方法を理解していれば高級感のある質感や肌ざわりを長く楽しむことができます。
秋冬でオシャレを楽しむにはピッタリの素材です。
「すぐにダメになってしまいそう」とベロアの洋服を敬遠していた方は、この記事を参考にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。