博多織(はかたおり)は1241年に博多で生まれ、着物の「帯」としては国内屈指の評価を集める絹織物のことです。
1976年に国の伝統的工芸品に指定され、中でも有名なのが「献上柄」と呼ばれる伝統的な柄。
博多地区のシンボル的な模様として街中のさまざまな場所で使われています。
今回はそんな博多織の詳しい特徴や歴史、博多織の帯の価格を説明し、浴衣の帯の合わせ方も紹介します。
博多織の浴衣の帯に興味がある方に役立つ内容です。
ぜひ参考にしてみてください。
博多織とは
博多織が帯として評価が高いのは、その生地の織り方や作られた歴史が関係しています。
締め心地のいい生地の特性や、幕府に献上されてきたという事実が品質の高さを物語っています。
次に詳しく解説していくのでひとつずつ見ていきましょう。
博多織の歴史
博多織は仁和二年(1241年)に宗から帰国した博多商人・満田弥三右衛門(みつたやざえもん)が絹の織り物と技術を博多へ持ち帰ったところから始まりました。
その後も生産を続け、江戸時代には福岡藩主・黒田長政(くろだながまさ)が幕府への献上品として選ぶほど、品質の高さが認められるようになりました。
そして、その価値を広めたのが歌舞伎役者の七代目市川團十郎(いちかわだんじゅうろう)でした。
「助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)」という講演で博多織を身にまとい、その着物姿が素晴らしかったことから評判が広まり全国的に有名になったのです。
博多織の特徴
博多織は、通常の織物よりたくさんの糸や特殊な太い糸を強い力で織り込んで密度が高い生地を作り出すのが特徴です。
その張りと厚みがある生地で帯を作り、一度締めたら緩まないという特性を持った帯が生まれました。
刀を差しても緩みにくい帯は武士からの評判が良く、着付けの初心者が帯を締めても緩みにくいため使いやすさがとても高く評価されました。
また、帯を締めた時に「きゅっ」と音がするような生地の張りは、結んだ時の形が美しくなることから見た目の部分でも機能しています。
さらに博多織の伝統的な柄で幕府への献上品として扱われた「献上柄(けんじょうがら)」があります。
献上柄は仏具(仏様を供養するための道具)と縦縞をモチーフにした柄で、太さの違う縦縞は親子を表し、仏具は魔除けや厄除けを意味します。
その模様が連続してつながる献上柄は「永遠の子孫繁栄の願い」が込められており、シンプルなデザインとメッセージ性が高く評価されました。
献上柄はシンプルなデザインで様々な着物に合わせやすいため、最初に買う帯としても適しています。
織り方の種類
博多織で用いられている織り方を以下にまとめました。
名前 | 特徴 |
平地 | 経糸(たていと)に太い緯糸(よこいと)を細かく打ち込んだ、 密度が高い織物。 |
佐賀錦 | 金銀の箔や漆を使った経糸と絹の緯糸で織ったもの。 |
間道(かんどう) | 縞の中に繻子織(サテン)でさまざまな模様を描いた織物。 |
風通(ふうつう) | 二つの生地で出来た表裏で柄が違う織物。 |
紗(しゃ) | 格子状に透かした生地が特徴の織物。 |
粗紗(あらしゃ) | 紗と同様の織り方だが、太い糸で織った目の粗いもの。 |
本袋 | 表地と裏地が袋状に織られたもの。 |
博多織で代表的な織物に多いのが平地です。
主に帯に使われている織り方で、博多織ならではの張りと結び目の美しさを生み出しています。
博多織の帯の価格
博多織の価格は献上柄のもので3万円〜4万円が平均相場です。
博多織は「博多織工業組合」によって、品質が維持されています。
認定された博多帯には色分けされた菱形の博多マークの証紙が貼ってあり、絹が多く使用されている物ほど価格が高いです。
また等級とは別に手織りであることを証明する証紙もあり、こちらが付いているとさらに価値が高くなります。
詳細をまとめました。
・「金色」絹50%以上
・「青色」絹50%以下
・「手織り」機械ではなく手で織られたもの
このように、一口に博多織といってもグレードによって価格が変わるので平均相場を表すのは難しいですが、買い求める際の参考として上記の価格を目安にすると良いでしょう。
価格の参考として証紙が付いた献上柄の帯の商品リンクを貼っておきます。
西村織物 反幅帯 縞献上 価格 30,800円(税込)
博多織の財布
通常であれば織物を財布の表面に使うことは難しいですが、密度が高い博多織の生地の張りを活かして財布が作られています。
摩擦に強いためシワができにくく帯としても優秀ですが、通気性の高さも兼ね備えているので単純に素材としても機能性が高いです。
おすすめの財布をピックアップしてみました。
筑前織物 博多織の長財布
筑前織物 博多織の長財布 価格 26,400円(税込)
博多織の特性を活かした立体感のある切子柄の長財布です。
上品かつ豪華な帯柄の財布で、カードは8枚入りでファスナー付き小銭入れが付いています。
表と上蓋部分のみ博多織が使用されています。
筑前織物 親子がまぐち
筑前織物 親子がまぐち 価格 4,950円(税込)
博多織の帯地を使ったがまぐちです。
がまぐちの中に、もう一つがまぐちが付いているユニークな商品。
使い方は自由ですが、例えば中のがまぐちを小銭入れとして使えば、紙幣と小銭がごちゃごちゃにならずにスムーズにお金を取り出せます。
浴衣の帯の合わせ方
ここからは浴衣の帯の合わせ方について説明します。
帯の幅や色の合わせ方でガラッと印象が変わるため、選ぶ前に合わせ方のポイントを知っておくことが重要です。
中でも色の合わせ方を覚えておくと実際に着付けをした時にどこかしっくりこないという失敗がなくなります。
ぜひ参考にしてみてください。
半幅帯がおすすめ
浴衣にはカジュアルなシーンに合う「半幅帯(はんはばおび)」がおすすめです。
半幅帯の幅は約16㎝と通常の帯と比べて細く、通常の帯の幅は約30cmほどあります。
半幅帯は、帯を固定するための帯締めといった小物類が無くても帯結びができるので便利です。
デザインが豊富で価格もリーズナブルなものが多いです。
浴衣の柄の色に合わせる
一番失敗しにくい合わせ方は浴衣の柄の色と同じ色の帯を合わせる方法です。
例えば紺色の生地にピンク色の花柄の浴衣を選んだとします。
その場合、帯の色は花柄に使われているピンク色の帯を選ぶ、という具合です。
こうすることで浴衣と帯が馴染みやすくなるので、初めて浴衣を選ぶ場合でも失敗しにくくなります。
浴衣と帯を柄同士で合わせる
上級者向けの浴衣と帯を柄と柄で合わせる方法があります。
柄と柄の組み合わせは失敗するとまとまりがないコーディネートになりがちですが、うまく合わせることができれば、より華やかな印象になります。
柄の合わせ方のコツは着物と帯の生地の色を「反対色で合わせる」方法です。
反対色の例は赤に対して青、紫に対してオレンジといったように色合いが真逆な組み合わせにすることです。
生地の色合わせに気を付ければ、柄と柄でもバッチリ合わせることができてワンランク上の着こなしが楽しめます。
まとめ
博多織は古くから品質の高さを評価されており、全国的に有名な織物であることがわかりました。
張りのある質感や立体的な柄を活かした伝統的な献上柄の帯をはじめ、財布などの小物類も人気があります。
浴衣に合わせる場合は半幅帯の博多織の物を選べば、着物に詳しい方にも一目置かれること間違いなしです。
浴衣の帯を探している方はこの記事を参考に、博多織の商品を選んでみてはいかがでしょうか。