レザークラフトなどでコバ処理という言葉を目にしたことがあると思います。
そもそも「コバ処理とはなんなのか?」「コバ処理は必ずしなきゃいけないのか?」と思っている人も多いはず。
コバとは、革の裁断面のことを指し、コバ処理は裁断面であるコバを綺麗に処理すること。
コバ処理をすることで、耐久性が上がり、コバを綺麗にすることができます。
しかしコバ処理は必ずしなくてはいけない物ではありません。
あえてコバ処理をしない方法もあり、作業工程が少なくすみ、見た目がナチュラルな仕上がりになります。
しかし、耐久性が弱く、毛羽立ってしまうデメリットもあります。
コバ処理自体もそこまで難しいものでは無く、こだわりを持ってできる楽しい作業でもあります。
この記事では、コバ処理とは何か?コバ処理の基本的なやり方やコバ処理の必要性を紹介しています。
ぜひ参考にコバ処理をしてみましょう。
コバ処理とは?
コバ処理の「コバ」とは、革の裁断面の事。
コバ処理とは、革の裁断面であるコバを綺麗に処理することを言います。
漢字では「木端」と書き、木材の裁断面を意味する言葉がそのまま革にも使われるようになったと言われています。
あえてコバ処理をせず、ナチュラルな状態を楽しむ革製品もあります。
しかし、コバ処理をせずに切りっぱなしの状態だと、使っていくうちに毛羽立ってボロボロになってしまうリスクがあります。
そのため、ほとんどの革製品ではコバを綺麗な状態にするためにコバ処理をしています。
コバ処理は、製品の美しさと耐久性を大きく左右する重要なポイントです。
革の職人もコバ処理に拘っている方が多くいます。
今後革のコバがどのようになっているのかを見る事で、より革製品を楽しむことができます。
コバ処理の種類
コバ処理は、用途や製品に合わせて処理方法がいくつかあります。
それぞれの種類に特徴があり、見た目や特性も変わってきます。
ここでは、コバ処理の種類を紹介していきます。
ヘリ返し | 薄い革でコバの断面を隠す方法 |
切目製法 | 複数枚の革を重ね縫い合わせる方法 |
生成り仕上げ | 軽くヤスリをかけナチュラルさを残す方法 |
切り目本磨き | 布海苔を塗布しマットな色合いにする方法 |
コバ塗り仕上げ | 色付けやニスでツヤを出す方法 |
ヘリ返し
ヘリ返しは、革の裏同士を合わせ、一方の端を数ミリ長めにし、もう一方へ折り被せて接合する方法。
多くの革製品に使われる方法です。
ふちのみを重ねるため、製品の厚みを比較的薄く仕上げることができます。
革の外側を折り返しコバが隠れるため、見た目がスッキリとした印象になるのも特徴です。
しかし、ヘリの部分の耐久性がそこまで高くないものも多く、製品が長持ちしないデメリットもあります。
切目製法
切目製法(きりめせいほう)は、複数枚の革を重ね縫い合わせる方法。
コバに塗料を塗ったり、ワックスで磨き上げ、見た目を美しく処理するのが一般的です。
ヘリ返し同様に多くの革製品で使われる方法です。
ヘリ返しのようにコバを隠さずに、コバを綺麗に処理する必要があり、革職人の技量が求められる方法です。
生成り仕上げ
生成り仕上げ(きなりしあげ)は、革のナチュラルさを残す方法。
コバに塗料を塗ったり、ワックスなどをせず、軽くヤスリをかけます。
革の生成がかった風合いが残り、ナチュラルな仕上がりになります。
しかし、コバに加工を行わないため、コバが劣化するデメリットもあります。
切り目本磨き(本磨き仕上げ)
本磨き仕上げとも呼ばれる、切り目本磨き。
コバの表面をヤスリがけでフラットな状態にして、布海苔を塗布し乾燥させ、布で磨き上げる方法です。
マットな色合いになり、なめらかで触り心地がいいのが特徴。
コバ塗り仕上げ(溶剤添付処理仕上げ)
溶剤添付処理仕上げとも呼ばれる、コバ塗り仕上げ。
顔料や塗料で色付けをしたり、ニスでツヤを出したりする方法です。
ツヤが出て色合いが鮮やかで、手触りがなめらかなのが特徴。
財布などを始め、ランドセルにも使用されています。
※コバ塗り仕上げでコバ処理をした革製品については、こちらから商品をご覧になれます。
>> 札幌革職人館公式オンラインショップ
コバ処理(コバ磨き)の基本的なやり方
レザークラフトなどをする場合は、自分でコバ処理をする必要があります。
コバ処理は、自作の革製品の耐久性を高め、綺麗に作る重要な箇所です。
革職人もコバ処理にはこだわりを持っている人がとても多くいます。
簡単なコバ処理の流れは、
①ヘリを落とす(繊維が見えている状態)
②コバインクを塗る(まだザラザラの状態)
③ヤスリを掛け磨く(ザラザラが消える)
④コバインクを再度塗る(多めに塗る)
の4つの工程で簡単にコバ処理をすることができます。
これで完成でもいいのですが、③と④の工程を2,3回行うことでより綺麗な仕上がりになります。
ここでは、自分で簡単にできるコバ処理の基本的なやり方を紹介します。
コバ磨きに使う道具
【コバ磨きに使う道具】 ・ヘリ落とし(必要なら) ・コバインク ・ドレッサー ・サンドスティック |
コバ磨きで使う道具は、楽天やアマゾンなどのネットショップで購入することができます。
実店舗の場合は、革屋や東急ハンズで購入することができますが、店舗によって置いていないところもあるので注意しましょう。
ヘリ落としをする
ヘリとは、革の縁の部分のこと。
ヘリ落としは、そんな革の縁の部分を削ぎ落として丸くする為の道具です。
ヘリ落としを使いコバのヘリを落としていきます。
角度を変えてしまうとヘリの部分が凸凹になってしまうので、一定の角度を保ち行いましょう。
ヘリおろしすることで、角が取れてコバが滑らかになります。
※ヘリ落としは必ず必要な工程ではないので、必要がない方は飛ばしてしまって問題ありません。
コバインクを塗る
コバインクは、コバインキとも呼ばれる、コバに塗る塗料の事。
コバにこのコバインクを塗っていきます。
コバはまだザラザラとした状態です。
コバインクは、色を付けるのはもちろん、コバ周りの毛羽立ちを抑える効果もあります。
ヤスリを掛け磨く
次にドレッサーやサンドスティックを使いコバをヤスリ掛けして磨いていきます。
(ドレッサーとは、裏面が金属の持ち手のついたヤスリの事)
(サンドスティックとは、棒状の物にヤスリがついた物)
最初は、目の荒いドレッサーから始めます。
次に、#600や#1000など、目の細かい物を使うと綺麗に磨くことができます。
回数などに決まりはなく、自分が納得いくまでやりましょう。
紙ヤスリでも問題ないですが、均等に削りやすい、ドレッサーやサンドスティックを使うのがおすすめです。
コバインクを再度塗る
ヤスリを掛け終えたら、もう一度コバインクを塗り完成です。
最後にコバインクを塗る時は少し多めに塗りましょう。
再度ヤスリを掛けてコバインクを塗る過程を2,3回繰り返すとより綺麗になるので、こだわる方はチャレンジしてみましょう。
コバ処理は必須ではない
コバ処理をした方がいいような気はするけど、正直面倒。と感じる人も少なくないと思います。
コバ処理は必ずしなくてはいけないわけではありません。
あえてコバ処理をしない革製品も販売されています。
ではコバ処理をしないとどうなるのでしょうか?
ここでは、コバ処理をしない場合どうなるのかを紹介していきます。
コバ処理無しはナチュラル系に仕上がる
コバ処理をしない場合は、コバがナチュラルなテイストに仕上がります。
コバをナチュラルな感じにしたい方は、あえてコバ処理をしないのも1つの方法です。
コバ処理をする前に実際に自分の目で見て、コバがこれでもいいのかを確認してみましょう。
コバ処理をしないナチュラルな見た目が好みの方はそのままコバ処理をせず、見た目があまり好みでない方や長い間整った見た目を保ちたい方は、コバ処理をしてみましょう。
コバ処理をしないデメリット
コバ処理をしない時は、作業工程も無くナチュラル系に仕上がりますが、コバ処理をしないデメリットも存在します。
一番大きなデメリットは、コバが毛羽立ってボロボロになりやすいこと。
コバ処理をしない切りっぱなしの状態だと、どうしても耐久性が落ちてしまいます。
コバが毛羽立ってしまうと見た目もよくないです。
また、簡易的な安っぽさを感じてしまう場合もあります。
コバ処理をしない場合は、耐久性とそれに伴う見た目のデメリットを理解しましょう。
コバ処理はした方がいい?
基本的には、コバ処理をするのがおすすめです。
作業工程を少なくできる大きなメリットはありますが、耐久性が落ちてしまうのはどうしてもネックです。
コバ処理をしない状態だとナチュラルな見た目に仕上がりますが、コバ処理をした方が美しさはあります。
コバ処理をしないで作業工程を減らしたい。
ナチュラルな見た目に仕上げたい。という方はあえてコバ処理をしない選択ももちろんありです。
その他の人は基本的には、コバ処理をしてみましょう。
コバ処理は、レザークラフトでもこだわりを出せる楽しい作業です。
ぜひこの機会にコバ処理にチャレンジしてみましょう。
※レザークラフトに興味をお持ちの方はこちらの記事を参考にしてみてください。
>> 革専門店が教える!レザークラフト道具の一覧表と失敗しない始め方!