実は革バッグの汚れは自分で落とすと、さらに状態が悪くなってしまう可能性があります。
例えばアルコールで汚れ落としをすると、革についたアルコールが揮発(きはつ)する際に油分まで落としてしまうためシミになります。
汚れを落とすどころか二度と使えない状態になってしまうことも…。
そこで今回はデリケートな革バッグの汚れを、ダメージを与えずに自分で落とす方法を紹介します。
ただし、そもそも革製品は汚れないようにお手入れをする必要があるので、その方法もお伝えします。
そのお手入れ方法を学べば、今後難しい汚れ落としをする必要がなくなるので、ぜひ参考にしてみてください。
革バッグが汚れる原因
革バッグが汚れてしまうのは皮脂が付着したものが蓄積したり、洋服などからの色移り、雨シミ、メンテナンスクリームの塗りすぎなどが原因です。
それらの原因から守るために、コーティングをしている成分が「油分」です。
油分を保つことで乾燥から守り、汚れが付着しても浸透しないようになっています。
お手入れをせずに油分が無い状態で使うと、革の表面に皮脂やホコリ、摩擦による乾燥で、汚れが内部まで浸透して黒ずんでしまいます。
革バッグのお手入れを怠ると、黒ずみや水シミ、カビを引き起こす原因になるのです。
汚れた革バッグは元通りにはならない
一度汚れてしまった革バッグは完全に元に戻すことは難しいです。
バッグの素材である革はもともと動物の皮であったものを表面加工してできています。
人間の肌と同じように考えると、日に焼けたり傷付いた肌がなかなか元に戻らないように革の内部まで沈着した汚れは元には戻りません。
お手入れをして汚れを防ぐことが重要なのはこのためです。
しかし、元通りにするのは難しいですが元の状態に近づける方法は存在します。
次の章で詳しく説明するので見ていきましょう。
原因別自宅で革バッグの汚れを落とす方法
革バッグの汚れを原因別に落とす方法を紹介します。
紹介する内容は黒ずみやペンのインク、水シミやカビの落とし方の4つです。
間違った方法で革にダメージを与えてしまう前に、記事を見て正しい方法で行ってください。
ではひとつずつ見ていきましょう。
黒ずみを落とす方法
まずはバッグの取っ手部分や、角に起こりやすい黒ずみの落とし方です。
必要なものを紹介します。
アイテム | 商品 | 特徴 |
革用消しゴム | 「コロニル ソフトガミ」 価格:864円(税込) | ドイツの革用メンテナンス用品メーカーが販売している汚れ落とし消しゴムです。 |
保革クリーム | 「M.モゥブレィ リッチデリケートクリーム」 価格:1,650円(税込) | アボカドオイルが配合された水分と油分を補給できる革用クリームです。 |
革用クリーナー | 「サフィール レノマット リムーバー」 価格:1,980円(税込) | しつこい汚れにも対応した中性の革用クリーナーです。 |
手順を紹介します。
1.クリーナーや消しゴムをバッグの目立たない部分で問題ないか試してから、いずれかの方法で汚れを落とす。
※革が色落ちしない程度に留めておく。
2.擦った部分が乾燥しているので保革クリームで保湿する。
3.日陰で乾燥させて完了。
消しゴムで擦ることで革にダメージを与えてしまうので、力を入れずに擦り過ぎないように注意しましょう。
革の染色が落ちてしまわないように作業し、しっかりと保湿してあげることが大事です。
ペンのインクの汚れを落とす方法
次はバッグに誤って付いたボールペンなどのインクの落とし方です。
必要なものを紹介します。
アイテム | 商品 | 特徴 |
革用消しゴム | 「コロニル ソフトガミ」 価格:864円(税込) | ドイツの革用メンテナンス用品メーカーが販売している汚れ落とし消しゴムです。 |
保革クリーム | 「M.モゥブレィ リッチデリケートクリーム」 価格:1,650円(税込) | アボカドオイルが配合された水分と油分を補給できる革用クリームです。 |
革用クリーナー | 「サフィール レノマット リムーバー」 価格:1,980円(税込) | しつこい汚れにも対応した中性の革用クリーナーです。 |
手順を紹介します。
1.クリーナーや消しゴムをバッグの目立たない部分で問題ないか試してから、いずれかの方法で汚れを落とす。
※革が色落ちしない程度に留めておき、インクが落ちそうにない場合はここで中断する。
2.擦った部分が乾燥しているので保革クリームで保湿する。
3.日陰で半日ほど乾燥させて完了。
インクが染み込んで時間が経っている場合、きれいに落とすのは難しいです。
落ちそうにない場合は無駄なダメージを与えないように早めに作業を中止しましょう。
水シミを落とす方法
革バッグが水に濡れて放置し、「水シミ」になった時の落とし方です。
使用する物は以下です。
アイテム | 商品 | 特徴 |
濡れたふきん | バッグを拭くための、濡らしたふきん。 | |
保革クリーム | 「M.モゥブレィ リッチデリケートクリーム」 価格:1,650円(税込) | アボカドオイルが配合された水分と油分を補給できる革用クリームです。 |
では手順を紹介します。
1.濡らしたふきんでバッグ全体を拭き、一部分だけ色が変わってシミの痕が残らないように革全体を湿らす。
2.日陰の風通しのいい場所で半日ほど乾燥させた後に保革クリームで保湿を行う。
※ドライヤー等で急激に乾燥させずに全体を湿らせてからゆっくり乾燥させることがコツです。
革は濡れた部分が乾燥すると水分と共に油分が抜けてシミになります。
ですので、一旦全体を湿らせてからクリームで栄養を与えることでシミを目立ちにくくします。
濡れた時にすぐに拭き取るように心がけましょう。
カビの落とし方
最後は保管したバッグにカビが生えた時の落とし方です。
用意するものを紹介します。
アイテム | 商品 | 特徴 |
ふきん2枚 | カビ落とし用とクリーナー用の2枚。 | |
カビクリーナー | 「モゥブレイモールドクリーナー」 価格:2,200円(税込) | 除菌成分が高い「有機ヨード」が含まれており、カビを細胞膜から破壊する効果があります。 |
保革クリーム | 「ラナパーレザートリートメント」 価格:3,300円(税込) | ラナパーレザートリートメントは天然の蜜蝋成分を中心として作られた保革クリームで、カビを防止する効果もあります。 |
手順を紹介します。
1.ふきんでカビを落とす。
※カビの胞子を吸い込まないように、マスクをして屋外で作業しましょう。
2.カビクリーナーを少量ずつスプレーし、乾いたふきんで磨く。
3.日陰の風通しのいい場所で半日ほど乾燥させます。
4.最後に革用クリームを専用スポンジで薄く塗り広げて革の表面を保護して完了です。
革製品に発生してしまったカビ菌を退治することはできますが、カビの斑点や匂いを完全に除去するのは難しいです。
革製品にカビが生えないように保管するには、湿度が高い場所を避け、風通しのいい日陰の場所に傷がつかないよう不織布の袋に入れて保管しましょう。
更に汗やほこりを落とし、お手入れした状態で保管するとベストです。
※カビの落とし方について詳しく知りたい人はこちらの記事を参考にしてみてください。
>> 革のプロが教える!革製品のカビの落とし方とカビない保管方法とは?
革バッグが汚れないための基本的なお手入れ方法
ここまで、革バッグの汚れの落とし方を紹介してきましたが、一番最初にお伝えした通り完全には元通りには戻りません。
革製品は、汚れさえも味わいとして感じられることも多いのでそれでも問題ないですが、あまりにも不自然な汚れは気になりますよね。
今後そのような状態にならないようにお手入れの方法を確認してください。
それほど難しい内容ではないため、革の状態を美しく保つために月1回程度でいいのでお手入れを行いましょう。
アイテム | 特徴 |
馬毛ブラシ | ブラッシングするために必要な「馬毛ブラシ」。 馬毛は柔らかくホコリを落とすのに適しています。 |
革用クリーム | 革にうるおいを与える革用クリームは 「デリケートクリーム」がおすすめです。 のびが良く初心者でも扱いやすいです。 |
柔らかい布 | クリームを塗り広げるために使用します。 着なくなったTシャツで代用可能です。乾拭きにも使います。 |
革用クロス | 仕上げのためのポリッシングクロスとも呼ばれる布のことで、 ツヤ出しのために使用します。 |
すべてAmazonなどの通販で購入可能ですが、札幌革職人館の公式オンラインストアでも購入できます。
ブラシで汚れとほこりを落とす
馬毛ブラシで革の表面についたホコリや汚れを落とします。
汚れやホコリの上からクリームを塗ってしまわないように準備をする作業です。
縫い目や革の段差部分が汚れが溜まりやすいところなので丁寧に掃除します。
革を傷つけないように、優しくブラッシングしましょう。
保革用クリームやオイルを塗る
汚れが落とせたら、保革用クリームを柔らかい布に付けて塗り広げます。
少量ずつ取って全体に塗り広げていきましょう。
この時、円を描くように素早く塗っていくとムラなく馴染ませることができます。
時間を置いてクリームを浸透させる
クリームを塗って時間を置くことで、革に油分を浸透させます。
浸透させる前にブラッシングして馴染ませやすくしてから、30分〜1時間ほど日陰で放置しておきましょう。
乾拭きをして余分なクリームを落とす
クリームを馴染ませることができたら、新しく用意した柔らかい布で乾拭きします。
表面に残ったクリームを落として、表面のべたつきを防ぐのが目的です。
仕上げにブラシで磨き上げることで、革の隙間など布で拭けなかったクリームも馴染ませることができツヤのある仕上がりになります。
※革バッグのお手入れ方法について詳しく知りたい人はこちらの記事を参考にしてみてください。
>> 革のバッグの手入れ方法を紹介!水に濡れた場合の対処方法は?
レザーケアキットプラスを使う
「レザーレアキットプラス」という商品を使用すれば、経年変化自体をとめられるだけでなく、汚れも防止できます。
セット内容は以下の通りです。
・レザーソフトクリーナープラス 50ml
・プロテクションレザークリームプラス 50ml
・スポンジ
・タッチアップクロス
・取扱説明書
基本的な使用方法を紹介します。
1.クリーナーを付属のスポンジに染み込ませる。
2.スポンジで泡立てて円を描くように擦ります。
3.浮いた汚れを乾いた拭き取り、30分程度、自然乾燥します。
4.乾燥したら、タッチアップクロスを使ってプロテクションクリームを塗布します。
5.再び30分程度、自然乾燥させて完成です。
※詳しい使い方は取扱説明書をご覧ください。
レザーレアキットプラスを使用する際は、革の状態を適切に保つために「レザーソフトクリーナープラス」と「プロテクションレザークリームプラス」を必ずセットで使用しましょう。
革バッグの汚れ落としをプロに頼む
自分で落とせる方法を紹介してきましたが、一番確実なのはプロに頼むことです。
予算がかけられるのであればプロに頼んだ方が、汚れもきれいに落ちてバッグを長持ちさせることができます。
もしプロにお願いする場合は、全国どこでも郵送でバッグを送ってクリーニングできる「靴専科」がおすすめです。
革・布・スエード・エナメルといった素材のバッグをカウンセリングの上クリーニングしてくれます。
申し込み方法について紹介します。
1.店舗情報より電話で申し込む。
2.電話した店舗に発送する。
※送料は自己負担
3.品物が到着後電話にてカウンセリングを行い、クリーニング内容や価格について相談する。 (靴専科クリーニング価格はこちら)
4.クリーニング後、店舗より返送。
※送料は自己負担
近くに革バッグのクリーニングができるお店がない場合は利用してみてはいかがでしょうか。
まとめ
お手入れをせずにバッグを使い続けると、いつの間にか汚れが目立って使いにくくなってしまいます。
できることなら汚れが目立つ前に、日々のお手入れできれいにしておくのがベストです。
明らかに難しい状態の場合は手を加えずに、革製品に対応したクリーニング店に持ち込むのが安全な方法です。
自分で汚れを落とす時はこの記事を参考に、革バッグにダメージを与えない方法で行いましょう。