革靴などの革製品のメンテナンス用品としてミンクオイルに興味がある方も多いと思います。
ミンクオイルは、とても油分が多いクリームで、革を柔らかくし、自然な光沢感と撥水性を高めることができます。
しかし、ミンクオイルは、油分が多い分、扱いがとても難しいクリーム。
いわば上級者向けのクリームです。
使い方によっては、カビの発生や柔らかくなりすぎることでの型崩れの原因にもなります。
そのため通常の革靴のメンテナンスにはあまり向いておらず、通常の革靴のメンテナンスにはミンクオイルではなく靴クリームを使うのがおすすめです。
そんなミンクオイルですが、硬くて歩きづらい、革靴の靴底に使用して、生地を柔らかくし歩きやすくする使い方もあります。
良くも悪くも油分が多く扱いづらいミンクオイルで失敗しない為に、ミンクオイルをしっかり理解して使用できるよう、ぜひ参考にしてください。
ミンクオイルとは?
ミンクオイルは、「ミンク」という動物から取れる皮下脂肪を使った革製品のメンテナンスに使用するケア用品のこと。
ミンクの内臓と毛皮の間にある油だけを抽出して作られており、一般的なクリームタイプを始め、固形タイプ、リキッドタイプ、スプレータイプなどがあります。
一般的な保湿クリームは、化学成分で作られているのに対し、ミンクオイルは動物性の天然成分。
ミンクオイルは良くも悪くも油分が多い動物性の自然素材で、革によく馴染み、革製品の油分を補給することができます。
ミンクオイルの特徴は、革を柔らかくし、自然な光沢感を出すことができ、撥水性も上がるという特徴があります。
しかし、ミンクオイルは油分がとても多い分、扱いが難しく、知らずに使うとデメリットもとても多いメンテナンス用品になります。
実はミンクオイルは革靴に不向き
ミンクオイルを革靴に利用しようと考えてる人もいるかもしれませんが、革靴のメンテナンス初心者の方には扱いが難しく、初心者の方にとっては、革靴のメンテナンスにミンクオイルはおすすめできません。
基本的に革靴にミンクオイルは使用しないのが無難です。
ミンクオイルは油分が多いことがメリットでもありますが、革靴のメンテナンスに使用するには、ミンクオイルの油分は多すぎます。
油分が多く取り扱いが難しいミンクオイルは、日常の革靴のメンテナンスで利用すると様々なトラブルの原因にもなってしまいます。
カビが生える原因になる
油分が多いミンクオイルは、カビが生えてしまう原因になってしまいます。
油分が多く革に油分を補給させ潤いを与えることがメリットのミンクオイルですが、潤いを与えると言うことは、湿気を帯びやすくなりカビが発生する原因になってしまいます。
さらに、油分もカビが発生する大きな要因です。
油分が多いミンクオイルを塗り、玄関や下駄箱など湿度が高い場所に置いておくと、湿度と油分で大事な革靴にカビが発生してしまうなんてことにもなりかねません。
柔らかくなりすぎて型崩れの原因になる
革に良く馴染むミンクオイルは、革を柔らかくする効果があり、履き心地が良くなる効果もあります。
しかし、同時に革靴の形が崩れてしまう原因にもなります。
また、ミンクオイルを付けすぎることにより、柔らかくなりすぎてシワができてしまったりと、取り返しがつかなくなることもあります。
特にビジネスシューズとしての革靴は、フォーマルなシルエットが特徴であり、形が崩れることで革靴の良さが失われ、だらしのない印象も与えかねません。
油シミの原因になる
ミンクオイルの油分が浸透しすぎて、革靴に油シミができてしまう原因にもなります。
水シミ程度であれば、比較的簡単にシミを目立たなくすることはできますが、油シミになると、服に食べ物をこぼしてしまった時のように、落とすのはかなり困難になります。
油分が多いミンクオイルをつけすぎることで、油シミがついてしまう原因になるので、適切な量を判断し、利用しなくてはなりません。
汚れがつきやすくなる原因になる
油分が多いミンクオイルを革靴に塗ると、油分が原因で汚れがつきやすくなってしまいます。
食品油でイメージすると分かりやすいですが、油にホコリなどが着くと、付着しやすくなり、とても取りづらくなります。
ミンクオイルの油分も同様で、ミンクオイルの油分にホコリなどが付着しやすくなってしまいます。
油分に一度付着してしまった汚れは、拭けばすぐ落ちるようなものではないことも多いので、さらに手間がかかってしまいます。
ミンクオイルを使っていい革は?
ミンクオイルは油分が多く取り扱いが難しいので、ミンクオイルを使うのに向いている革と向いていない革をしっかり理解して使用することが大切です。
ミンクオイルを使用してみたいと考えている方は、ミンクオイルを使用しようとしている革製品がミンクオイルに向いているのか向いていないのかをチェックしましょう。
ミンクオイルに向いている革
ミンクオイルは「ヌメ革」と相性がいいとされています。
ヌメ革をより柔らかくして、耐水性を高めてくれるからです。
ミンクオイルを使うとヌメ革の特徴でもある経年変化が若干遅くなってしまいますが、ヌメ革の耐水性を高めたい人には向いています。
ただ、相性はいいですがミンクオイルを使った方が良いという革ではありません。
ヌメ革のメンテナンス方法には他にも、エイジングを加速させる「ニーフットオイル」や一般的なメンテナンスに使われる「馬油」などがあり、それぞれ特徴があるので、自分の用途にあったメンテナンス方法を選ぶ必要があります。
ミンクオイルは、相性が良いヌメ革以外に、乾燥がひどく、硬く色褪せてしまった革製品の、革の柔らかさとしっとりしとした感じを取り戻す時に役に立ちます。
多少の乾燥であれば、ミンクオイルほどの油分は必要ないですが、何年も放置していたような革の製品に利用するのにもおすすめ。
何年も使っていなかったお気に入りの革製品の乾燥がひどい場合などは、油分の多いミンクオイルで革に潤いを与えてみましょう。
また、油分が多く皮を柔らかくしてくれるミンクオイルは、エンジニアブーツやウエスタンブーツ、登山靴など、厚みがしっかりとしているブーツにも相性がいいとされています。
※ヌメ革について詳しく知りたい人はこちらの記事を参考にしてみてください。
>> ヌメ革とは?ヌメ革の特徴とエイジングに失敗しないメンテナンス方法
ミンクオイルに向いていない革
ミンクオイルを「型崩れをしたくない革製品」や「生地が薄い革製品」に使うのはやめましょう。
油分が多く、革を柔らかくするミンクオイルは、フォーマルなカチッとした革靴や、生地が薄い革製品だと柔らかくなりすぎてしまい、型崩れの原因になってしまいます。
他にも、「革の硬さが今でちょうどいい物」や「合皮」「コーティングがされてる革」などもミンクオイルを使うのは、おすすめできません。
ミンクオイルは、取り扱いが難しいので基本的には他のクリームなどで、しっかりメンテナンスができるので、ミンクオイルをメンテナンス用にチョイスする必要はありません。
ミンクオイルの使い方手順
取り扱いが難しく、基本的な革製品のメンテナンスには必要がないミンクオイルですが、特徴を理解した上でミンクオイルを使う場合の正しい使い方を紹介します。
油分が多いミンクオイルで、一番重要になるのが「塗りすぎない」こと。
ミンクオイルを塗りすぎてしまうと、カビや型崩れ、油シミの原因になってしまいます。
一度に多く塗ってしまうのが良くないだけでなく、ミンクオイルでの手入れの頻度も多すぎてしまうと、様々なトラブルの原因になります。
「ミンクオイルは塗りすぎない」をしっかり意識して利用しましょう。
ブラシや乾いた布でホコリや汚れを落とす
オイルを塗る前にまずは、乾いた布で簡単な汚れを落とし、ブラシで布の繊維やホコリを落とします。
汚れやホコリが残った状態でミンクオイルを使用すると、汚れにオイルが付き、汚れが残ってしまいます。
ミンクオイルを少量手に取り塗る
ミンクオイルを米粒程度、もしくはそれ以下の少々量を指で取り革製品に塗ります。
布を使用すると、クリームを取りすぎてしまったり、塗る時に革製品の表面にくすんだような白さがつく場合があるので、指を使うのがおすすめです。
全体にムラなく均一に薄く伸ばす
ミンクオイルを塗る時は、指を使い、円を描く様にクルクルと全体にムラなく均一に薄く伸ばしましょう。
面積が広い革製品で、米粒程度のミンクオイルでは足りない場合のみ、ミンクオイルを少量追加し、伸ばしきれなかった部分に塗りましょう。
数分後に乾いた布で余分なオイルを拭き取る
ミンクオイルを塗り均一に伸ばした後、オイルが落ち着くまで10分以上かかるので、10分以上待ちます。
ミンクオイルを塗って10分以上待った後、革に染み込まなかった余分なオイルを乾いた布で拭き取り除きます。
布はクロスではなくても、着なくなった服の切れ端などでも大丈夫です。
1日寝かせる
ミンクオイルを塗った後は12時間〜1日寝かせて、オイルが革に染み込むのを待ちます。
ミンクオイルを塗ってすぐ使用すると、革に浸透していないオイルに汚れが付いてしまう恐れがあります。
ミンクオイルを塗る革製品を次の日も使わない日に行うのがおすすめです。
全体を乾いた布で拭いて完成
ミンクオイルを塗り、12時間〜1日寝かせたら、最後に全体を乾いた布で綺麗に乾拭きして完成です。
最後に全体を乾拭きすることで、革に染み込まなかった余分なオイルを拭き取ることができます。
最後の乾拭きをしないと、カビや汚れの付着の原因にもなるので、忘れずに最後の乾拭きをしましょう。
ミンクオイルは革靴の靴底に使え!
登山靴を始め、ワークブーツやウエスタンブーツなどの革靴に使われているレザーの靴底(アウトソール)は、長い歩行にも耐えられるように、強度が高く、繊維ががっちりしている丈夫な革を使用しています。
この強度が高い革はかなり硬く、歩きづらさを感じることもあります。
そんな場合は、ミンクオイルを使って、靴底を柔らかく反りを良くして、歩きやすくさせるのに役立ちます。
使っていれば慣れてはきますが、どうしても歩きづらくて仕方がない人は、革靴の靴底にミンクオイルを使って柔らかくするのもおすすめ。
革靴が硬くて歩きづらいと困っている方へ、革靴の靴底にミンクオイルを使用する手順を紹介します。
アウトソールの汚れを落とす
ミンクオイルを塗る前に、アウトソールの汚れを落とします。
すでに履いている場合は、クリーナーを使って汚れを落とす。
未使用の革靴の場合は、乾拭きなどでホコリを落とす程度で大丈夫です。
ミンクオイルをアウトソールに塗る
汚れを落としたらアウトソールにミンクオイルを塗り込みます。
ミンクオイルはソール全体に塗る必要はなく、靴のつま先側の地面に触れるところに塗ります。
乾拭きをする
ミンクオイルを塗ったソールを最後に乾拭きをして完成です。
革靴のアウトソールが硬すぎてどうしても歩きづらく感じる方は、ミンクオイルを革靴のアウトソールに塗って柔らかくしてみるのもおすすめです。
ミンクオイルを使いたい方におすすめの商品
油分が多く扱いが難しいミンクオイルですが、乾燥がひどい革製品の革らしさを取り戻せたり、硬すぎる革靴のアウトソールを柔らかくし歩きやすくするのに役立つミンクオイル。
ここではミンクオイルの定番のおすすめ商品を紹介します。
ミンクオイルの使用を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
コロンブス ミンクオイルビン
価格:770円(税込)
防水スプレーの「アメダス」でお馴染みのシューケアブランド「コロンブス」
コロンブスのミンクオイルは、ミンクオイルの中でも最も定番の商品。
コスパも良く、販売店も多いので手に入れやすいのも特徴。
クリームタイプ以外にも、リキッドタイプとスプレータイプもラインナップされています。
一般的にはクリームタイプで問題はありません。
どれを買えばいいか迷ったらまずはこの商品と言うほどの定番のミンクオイルです。
レッドウィング ミンクオイル
商品:商品サイトはこちら
価格:1,320円(税込)
大手ブーツメーカー「レッドウィング」が販売しているミンクオイル。
誰もが知る大手ブーツメーカーの安心感と見た目のかっこよさで人気。
見た目やブランドにもこだわりたい方におすすめのミンクオイルです。
タラゴ ミンクオイル
商品:商品サイトはこちら
価格:990円(税込)
スペインのシューケアブランド「タラゴ」のミンクオイル
1940年創業の実績と伝統があるブランド。
ミンクオイルの伸びも良く、扱いやすいのが特徴。
海外でも評判の高いミンクオイルです。
絶対に失敗しない革靴のメンテナンス方法
通常の革靴のメンテナンスに、ミンクオイルは必要はありません。
革靴のメンテナンスは、乳化性の靴クリームを使用するのがおすすめ。
革靴は、靴クリームの油分で充分で、塗りすぎてもシミになりづらく、もしシミになった場合でもクリーナーで取れる程度のシミです。
防水性を高めたい場合は、防水スプレーを使用すれば、日常的な防水効果を発揮してくれます。
靴クリームは、初心者の人でも取り扱いしやすく、しっかりとメンテナンスをすることができます。
メンテナンスの頻度は、月に1度しっかりとしたメンテナンスをするようにしましょう。
ここでは、大切な革靴をしっかりメンテナンスするための「絶対に失敗しない革靴のメンテナンス方法」を紹介します。
革靴のお手入れに必要な道具
失敗しない革靴のメンテナンスのために、まずは必要な道具を紹介します。
クリーニングに使用する道具 |
・馬毛ブラシ(メンテナンス前のホコリを落とす用)・クロス・クリーナー(靴の汚れを落とす) |
メンテナンスに使用 |
・乳化性の靴クリーム(靴の色にあったクリーム)・豚毛ブラシ(クリームを馴染ませる用)・グローブクロス(最後のくるみがき用) |
その他道具 |
シューズキーパー(保管、日常で使用)防水スプレー(必要であれば) |
以上の道具で革靴を失敗なくしっかりメンテナンスすることができます。
ブラシでホコリを落とす
メンテナンスを始める前に、まずは、馬毛ブラシでブラッシングをして、靴のホコリなどを落とします。
馬毛ブラシは、毛が細いのが特徴で、シワや細かい隙間のホコリを落とすのに適しています。
靴のフチの部分は、ホコリが溜まりやすいところなので、重点的にやりましょう。
また、靴にシューキーパーを入れながら行うと、靴のシワが伸びて、細かい部分も手入れできるのでおすすめです。
クリーナーで汚れを落とす
クロスにクリーナーを馴染ませて、靴全体を軽く拭いて汚れを落とします。
今まで塗ったクリームなども、時間がたつと汚れになってしまうので、クリーナーでしっかりと落としましょう。
ブラシ、クリーナーの手順を2回ほど繰り返すのがおすすめ。
2回やることで、1回では落ちなかった汚れも落とすことができます。
靴クリームを塗る
革靴の汚れを落としたら、靴クリームを少量取り、靴全体に塗ります。
靴クリームは量が多いといいわけではなく、目安としては「米粒2〜3粒」程度。
靴クリームは、革靴の色にあったクリームを選ぶようにしましょう。
ブラッシングをして馴染ませる
革靴に塗った靴クリームを浸透させるために、豚毛ブラシでクリームを均一に靴全体に伸ばします。
豚毛は馬毛より毛が太いのが特徴。
豚毛ブラシでクリームを伸ばす時は、ブラシを大きく動かすのがポイント。
ブラシを大きく動かすことで、靴の上でクリームが移動し、熱が革に伝わることで、クリームだけでも靴にツヤが出るようになります。
グローブクロスで全体を磨く
靴クリームを塗り終えたら、最後にグローブクロスで乾拭きをし、余分なクリームを取り除き、ツヤを出して完成。
通常のクロスでも問題はないですが、グローブクロスを使うことで、より綺麗に余分なクリームを取り除くことができます。
必須ではないですが、必要であれば最後に防水スプレーを薄くかけてあげると、防水性を出すことができます。
革靴を履いた後の日常のメンテナンス
革靴を履いて玄関にそのままにするのではなく、履いた後も簡単なケアをしてあげることで、革靴を綺麗に長持ちさせて使うことができます。
革靴を履いて帰宅後に、馬毛のブラシで靴全体をブラッシングし、ホコリなどを落とし綺麗にします。
シューズキーパーを入れることで、脱臭、除湿、型崩れの防止の効果があるので、履いていない時は、シューズキーパーを革靴に入れるようにしましょう。