OSO18とは?第二の被害を増やさないための対策や取り組みは?

熊のイメージ写真

近年増加しているヒグマ問題。

中でも北海道のヒグマ「oso18」というヒグマのニュースを耳にした人も多いと思います。

oso18とは、2019年〜2023年にかけ、北海道で次々と家畜の牛を襲い問題になったヒグマの名前です。

当時、どんな理由で牛を襲っているのか分からない前例の無い前代未聞の被害が発生しました。

oso18は学習能力がとても高いと言われ、罠にも掛からず、目撃情報がほぼ無いことから「忍者グマ」とも呼ばれ大きな注目を集めました。

ヒグマは本来、山の草木や木の実、昆虫などを主食としており肉食の動物ではありません。

しかし、現在では肉食のヒグマが増えてきています。

今後、oso18のように植物食を中心としたヒグマではなく、牛を襲うような肉食化した第二のoso18が増えていく可能性もあります。

そこでこの記事では、

・oso18とはどんなヒグマで最後はどうなったのか?

・ヒグマが肉食化し、第二のoso18のようなヒグマが現れるのか?

・第二のoo18を増やさないための今できる対策

などを紹介しています。

今増加しているヒグマの問題を考えてみましょう。

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北海道のヒグマoso18とは?

ヒグマのイメージ写真

oso18(オソジュウハチ)とは、北海道東部の町「標茶町(しべちゃちょう)」「厚岸町(あっけしちょう)」周辺で2019年から駆除された2023年まで被害をもたらした雄のヒグマの名前です。

本来は植物食が中心のヒグマですが、oso18は家畜の牛を次々と狙い、襲われた牛は合計66頭、うち32頭が殺されてしまいました。

2019年初めての被害から被害が拡大するものの、警戒心、学習能力が高く、oso18生前の写真は夜間に自動撮影された写真3枚とカラー写真1枚のみ。

捕まらず、姿も現さないことから「忍者グマ」とも呼ばれていました。

名前の由来は地名と足の大きさ

標茶町のイメージ写真

oso18の名前は、最初に被害が発生した「標茶町オソツベツ」の地名と、足跡の前足の幅が18cmと推定されたことが由来になっています。

この二つを合わせて「oso18(オソジュウハチ)」と命名されました。

実際の足の幅は、捕獲後の報道で20cmと判明しています。

oso18の大きさ

ヒグマのイメージ写真

oso18の大きさは、駆除された時点で「体長2m10cm、体重は推定330kg」

姿を現さず、被害も多いことから怪物クマや巨大クマとも恐れられていたoso18ですが、実際は通常のヒグマの平均と変わらない大きさのヒグマでした。

(雄のヒグマの平均は、体長約2m、体重約150〜400kg)

oso18の被害と経歴

ヒグマのイメージ写真
2019年7月16日に標茶町で牛が殺されているのを発見
2019年9月18日までに28頭もの牛が襲撃される
2020年5頭の牛が襲撃されDNA検査から同一のヒグマと判明しoso18と名付けられる
2021年標茶町の隣町、厚岸町で初めての被害が発生
2022年8月oso18が乳牛の襲撃に失敗し、しばらく被害が無くなる
2023年6月襲撃の失敗以降初めの被害が発生
2023年7月oso18はハンターにより駆除
2023年8月正式にoso18が駆除されたと発表され終焉

2019年の最初の被害から2023年に駆除されるまで、牛を次々と襲い前代未聞のヒグマの被害をもたらしたoso18。

ここでは、そんなoso18の具体的な被害や経歴を紹介していきます。

2019年最初の被害から2ヶ月で28頭の牛が襲われる

oso18の最初の被害があったのが2019年7月16日、北海道東部の町「標茶町オソツベツ地区」

夕方に牛が一頭足りないことに気づいた牧場主が周囲を模索していると、牧草地の脇の沢で殺害された牛を発見し、声を発したところ、20mほど先の薮からヒグマが逃げていく様子を目撃しました。

この目撃情報が最初で最後のoso18の目撃情報になります。

その後被害は瞬時に拡大し、8月5日に8頭、8月6日に4頭、8月11日に5頭と合計9カ所で被害が発生し、9月18日までのわずか2ヶ月ほどで28頭もの牛が襲撃されました。

被害が起きた9カ所の現場で体毛が採取されるも、他の動物の体毛が混ざっていたり、状態が悪かったりと、DNA検査では判断できる状態ではありませんでした。

しかし、2カ所で同じヒグマのDNAが採取され、2019年の時点で一連の牛の被害は同一のヒグマによるものだと浮上しました。

2020年にも5頭の牛が死亡し同一のヒグマと確定

2020年には5頭の牛が襲撃され死亡しました。

被害が発生した5カ所の現場から採取された体毛のDNAが全て一致

2019年から被害が起きた25カ所の現場のうち9カ所かの体毛が同じヒグマのものと判明しました。

多くの現場で18cmの足跡が見つかったことや、牛を襲う他のヒグマとは違う行動から、北海道庁は1頭のヒグマの仕業と断定し、「18cmの足のサイズ」と最初の被害が起きた「標茶町オソツベツ地区」にちなみ「oso18」と名前が付けれられました。

2021年に隣町の厚岸町にも被害が拡大

2019年〜2020年までの被害は、標茶町での被害でしたが、2021年には隣町の「厚岸町」まで被害が拡大。

被害の範囲が広くなったことから、2021年11月に釧路総合振興局を事務局とした対策会議が発足し、体毛を採取するためのトラップや全長23kmにも及ぶ電柵などが対策として設置されました。

この時点で被害額は少なくとも2300万円

それ以外にも春から秋にかけ放牧する牛も、事件後放牧をしていれば再び襲われる可能性があるため、半数近くの牛を牛舎に引き上げることとなりました。

本来放牧されるはずの牛を牛舎で飼育するとなると、餌やりや糞尿の処理などの労力が何倍にもなり、必要の無い餌代が数千万円もかかってしまいます。

もちろん牛だけではなく、いつ人間が襲われてしまうかという不安も強くなります。

2022年8月に乳牛の襲撃に失敗して以降被害が無くなる

2022年8月20日に、oso18は厚岸町の牧場で体重500kgの乳牛を襲撃。

しかし、この襲撃は失敗に終わります。

襲撃された乳牛は気性が荒く、両肩に噛まれた後が残され全身泥まみれになりながらも生還しました。

乳牛の角にはoso18の体毛が付着しており、乳牛の抵抗によりoso18は負傷しているのではないかと推測されています。

この乳牛の襲撃以降oso18の被害がなくなり、2023年6月24日の標茶町で1頭の牛が殺されているのを発見するのみになりました。

2023年7月にハンターによって駆除

2023年6月25日に標茶町で初めてカラーのoso18の姿の撮影に成功。

写真から分析されたoso18の大きさは体長約2.2mでした。

2023年7月30日。

釧路町仙鳳趾村オタクパウシの牧草地でハンターがヒグマを駆除したところ、そのヒグマがoso18と同一であると確認し、2023年8月22日にoso18が駆除されたと発表されました。

これによりoso18の一連の事件は終焉を迎えました。

oso18の駆除が報道されると、標茶町の役場には主に北海道外から「かわいそうだ」「どうして駆除したのか」といった抗議の電話が殺到。

しかし、道がsnsで理解を求める声を投稿すると2日で閲覧が1900万を超え、道の呼びかけに賛同、理解を示す声が多く寄せられる結果になりました。

oso18の最後

ヒグマのイメージ写真

2019年7月の最初の被害から駆除された2023年7月までの約3年間もの間被害をもたらしたoso18。

罠にも掛からず、姿も現さず、忍者グマとも呼ばれたoso18は、初めてヒグマを駆除したハンターによって最後を迎えました。

ハンターはoso18と気づかずに射殺

2023年7月30日午前5時頃、ハンターが釧路町の放牧地にヒグマがいるのを発見。

通常ヒグマは人が怖く逃げていくものですが、このヒグマは人の姿を見ても逃げるそぶりがなく、人に被害がある有害個体と判断され合計3発の銃弾により駆除されました。

ハンターは駆除したヒグマがoso18とは思っておらず、釧路町役場が念の為DNA鑑定を依頼したところ、2023年8月21日、駆除されたヒグマがoso18と判明し釧路町に伝わりました。

oso18を駆除したハンターは釧路町役場職員で、主にエゾシカを駆除していました。

そんなoso18を駆除したハンターは、ヒグマを駆除したのが今回が初めてとのことでした。

oso18は食肉として出荷

熊の肉のイメージ写真

駆除後、oso18はハンターによって白糠町の食肉加工会社に持ち込まれ、その日のうちに解体されました。

食肉加工会社もoso18とは知らずに一頭買いし、食肉として東京のジビエ料理店や釧路市の業者が運営するネットショップでoso18の肉は売られていきました。

釧路市の業者が運営するインターネットショップは8月中旬に肉を入荷し、その肉がoso18と判明すると一気に注文が増加し、完売状態に。

食肉として販売されたoso18は、現在牙だけが残っている状態で最後を迎えました。

oso18が他のヒグマとは異なるところ

ヒグマのイメージ写真

牛が次々と襲われ問題になったoso18は、他のヒグマとはどのようなところが違っていたのでしょうか?

oso18が他のヒグマと異なると言われる主な特徴が、

⒈植物食中心のヒグマだがoso18は次々と牛を狙った

⒉ヒグマの習性である獲物を土に隠す行動がなかった

⒊高度な学習能力で罠にかからなかった

などがあげられます。

ここでは、なぜoso18が他のヒグマと違いここまでの問題になったのかを紹介していきます。

植物食中心のヒグマだがoso18は次々と牛を狙った

牛のイメージ写真

ヒグマは本来、木の実や山菜など植物食が中心です。

一生の間に肉を1回も口にしないヒグマがほとんど。

しかし、oso18は次々と牛を狙いました。

専門家でも牛を襲う理由がはっきりとわからないと指摘しています。

狩った獲物を土に隠さない

エゾシカと自然の風景画像

植物食中心のヒグマですが、ごく稀にエゾシカなどの肉を捕らえた場合、獲物に強く執着をします。

土まんじゅうと呼ばれる、自分の獲物を土の中に隠し、繰り返し食べる習性があります。

しかし、oso18は通常のヒグマの習性とは異なり、牛を襲いながら傷つけるだけで放置しています。

牛の肉にも執着せず、襲撃した獲物を取りに現場に戻ることもありませんでした。

エサを求めて襲撃しているようにもとれますが、牛を襲って遊んでいるようにも捉えられます。

高度な学習能力で罠にかからない

熊の罠のイメージ写真

oso18の被害を食い止めようと餌の種類を変えたり罠の形などを工夫してもoso18は一度も罠にかかることはありませんでした。

罠である檻の中にある餌も、扉が閉まらないように中の餌だけを取った痕跡も残されています。

通常よりも深い檻を用意してもoso18は罠にはかからず、学習していると見られる行動をとっています。

また人の前には姿を現さず、実際に人の目で目撃されたとされるのは、初めて牛が襲われた時と、駆除される時の2回だけです。

罠に掛からない学習能力と極端な用心深さがoso18が他のヒグマとは違う特徴でもあります。

第二のoso18が出る可能性

熊のイメージ写真

今回特殊なヒグマとして大きな問題になったoso18。

本来植物食中心のヒグマが肉食化することで、第二のoso18となるヒグマが出る可能性があると言われています。

その背景には、エゾシカの急増があげられます。

なぜエゾシカの急増でヒグマが肉食化し、第二のoso18が誕生してしまう原因になってしまうのか?

ここでは、その原因を紹介していきます。

エゾシカの増加による餌不足

エゾシカに樹皮を食べられた木の画像

保護政策やハンターの減少で1990年代の急増を皮切りにエゾシカの生息数は年々増加し、北海道では農作物の食害や交通事故が深刻化しています。

エゾシカはヒグマと同じく植物色が中心の動物。

エゾシカの数が多くなるにつれヒグマが食べる餌が不足します。

そうなると肉を求めるヒグマが今後、oso18のように都市部に来てしまう恐れがあります。

エゾシカの死骸をヒグマが食べることによる肉食化と増加

鹿のイメージ写真

北海道では増えすぎたエゾシカの駆除を推進している一方で、エゾシカの死骸や解体後の内臓を不法投棄される問題も発生しています。

そんな不法投棄されたエゾシカを餌不足のヒグマが食べることにより、肉の味を覚えてしまいます。

エゾシカの肉は植物よりも高カロリーで効率よく栄養を得ることができ、さらにエゾシカの死骸が付近に転がっているため、餌を探す手間も省けてヒグマにとっては一石二鳥です。

肉の味を覚えたヒグマが肉食化し、肉を求めoso18のように牛を襲うヒグマが今後増えてしまう可能性もあります。

肉の味を覚えたヒグマの子育てで伝わる肉食の連鎖

親子の熊のイメージ写真

さらに懸念されるのが、ヒグマの子育てによる肉食化の連鎖です。

ヒグマは約2年間母親に育てられ、小熊が肉食化するかどうかは、母グマによります。

従来通り木の実を食べる母グマであれば植物食のヒグマに育ちます。

しかし、エゾシカの肉ばかり食べている母グマであれば、小熊も肉食として育っていきます。

母グマから小熊への肉食の連鎖によって今後、第二、第三のoso18が生まれる可能性はとても高いです。

第二のoso18を増やさない為の対策

北海道の自然のイメージ写真

大きな被害をもたらしたoso18のようなヒグマを今後少しでも産まないためにも対策は必要です。

そのためには、「エゾシカの急増を防ぐ」「エゾシカの死骸の不法投棄をしない」というのがとても大切になります。

エゾシカの急増によるヒグマの餌不足。

エゾシカの死骸の不法投棄により、肉の味を覚えてしまうヒグマ。

ヒグマの頭数の把握や急増するエゾシカの管理などの対策を進めることが、第二のoso18を産まないためにも重要です。

札幌革職人館の取り組み

札幌革職人館 エゾシカレザー ブックカバー A5サイズ

北海道で問題になっているエゾシカの急増による被害。

農作物による被害やエゾシカの衝突による交通事故の増加など、直接的な被害はもちろん。

ヒグマが不法投棄されたエゾシカの死骸を食べることによる、ヒグマの肉食化などエゾシカの急増は様々なところで問題になっています。

しかし、エゾシカの死骸を廃棄するためにも費用がかかるのが現状であり、仕方なく投棄せざる得ない状況もあります。

現段階では、エゾシカの素材は利用が進んでおらず受け入れ側が買い取る量に限界があります。

ハンターもエゾシカを売ることができれば投棄することもなくなっていきます。

また、エゾシカは年間約13万頭の狩猟をしなければ、増加を止めることはできないとも言われています。

北海道の取り組みと有効活用のグラフ

そんなエゾシカの総捕獲数の約12%は食肉として利用されていますが、エゾシカの食用肉は、約120kgの個体から約25kgほどの食肉しか取れず、残りは全て産廃として処分されています。

エゾシカ皮に至っては、流通は8%程度でほとんどが廃棄処分されます。

そこで札幌革職人館では、廃棄されているエゾシカの革を、新たな革製品として有効活用しています。

・エゾシカの生態系保全、エゾシカとの共生社会の維持

・廃棄処分費用の軽減

・新たな産業として地域振興などによる北海道の活性化

エゾシカの革をプラス資源として有効活用することでSDGsを中心とした環境の取り組みにも繋がります。

「革のカシミヤ」とも呼ばれる鹿革は、牛革に比べ軽く丈夫でしなやかなのが特徴。

さらに水にも強いため、万が一濡れてしまった場合でも、特別な手入れをしなくても革自体が硬くなりにくく、柔らかい状態を保つことができる万能なレザーです。

革製品との相性がいい鹿革で環境への取り組み、そして第二のoso18を産まないための取り組みにも繋がっていきます。

この記事をご覧の皆様にも、第二のoso18を増やさないため、積極的な製品の購入やエゾシカ肉の購入をして頂けたらと思います。

札幌革職人館でもエゾシカ革を用いた革製品を販売しています。
>> 札幌革職人館 エゾシカレザー

※エゾシカ革について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
>> 革好きにおすすめのエゾシカ革の特徴と魅力|注目されるその背景とは

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